種類と生産地

空豆(そらまめ)の種類と生産地

現在日本で栽培されているのは、中粒から大粒の生食用の青実用そらまめで、大粒種の低温処理早出し栽培技術も行われています。俗に「おたふく」と呼ばれる一寸そらまめ(大粒種)には、仁徳一寸(にんとくいっすん)、千倉一寸(ちくらいっすん)、河内一寸(かわちいっすん)、綾西一寸(りょうせいいっすん)などがあります。中粒種には、讃岐長莢(さぬきながさや)、房州早生(ぼうしゅうわせ)などがあります。

ちなみに、日本において作付面積が多いのは香川県の347ha(平成2年)で、収穫量も多くなっています。世界における空豆(そらまめ)の主要生産国は中国で、日本の乾燥空豆の輸入量は1996年が9,913tで、1997年は8,297tでした。

『仁徳一寸』

「河内一寸」に比べて、豆、莢ともに鮮やかな濃緑色で、一見して他の品種と区別ができる、色沢のすぐれた品種。豆の大きさは3cm前後の大粒で、柔らかくて甘味に富み、市場性は抜群。熟期は中早生で、3粒莢が多い。草姿は「河内一寸」に近似し、草勢が強くて、分けつ数が多く、たいへん作りやすくて豊産。草丈は約120cm。

『打越一寸(うちこしいっすん)』

九州南部で栽培されている一寸そらまめの中から、3粒莢が多く、しかも総着莢数の多い系統を選抜してきた品種。莢の色は濃緑色で光沢があり、豆は3cm前後となりよくそろう。熟期は「綾西一寸」程度の中早生種、草勢強く、寒さにも比較的強くて作りやすい。

『駒栄(こまさかえ)』

秋蒔きも可能であるが、特に低温を必要としない性質を生かした春蒔きに適する。春蒔き栽培では育苗中の温度管理の違いによる雌花着生のばらつきが出にくく着莢が安定し収穫量安定する。莢はやや長く濃緑。3粒莢主体であるが4粒莢も比較的多い。むき実の色は極濃緑な一寸そらまめ。茹で上がりの色がよく食味もよい。草勢は中程度で草丈はやや低く、耐倒伏性にすぐれ、分枝数はやや少ない。中早生種。開花後の成熟日数は打越一寸よりやや晩生となるが開花が早いので収穫期は逆に早い。(春蒔き栽培では1週間程度早く収穫できる)

『初姫(はつひめ)』

綾西、緑綾西などの子実の緑の品種から、赤色のより食味の優れた品種として育成しました。草勢は立性、草勢強く耐寒性が強いため、越冬容易で、分枝も多く、栽培容易な品種です。子実は綾西よりやや小さめですが、厚さは綾西以上に厚く、むき実歩合がそらまめの中ではもっとも高く、肉質は粉質で食味は極上です。2粒莢中心で3粒莢は少ないですが着莢数が多く多収となります。1Lの水に食塩30gと焼きミョウバン4gを加えて茹でると赤い色が消えません。

『さぬき長莢早生』

1莢に5〜6粒入る、長めの丸莢種。四国で発達した中粒種で莢着きはよく収量も多い。

『三連(さんれん)』

3粒莢率が特に高い大莢の一寸そらまめ。豆の大きさは約3cm、ボリュームがある大粒で食味良好。青実の臍(お歯黒)の色が変色しにくく、新鮮さが長持ちする。子実の色は鮮緑。草勢は強勢で、栽培容易。分けつ数は1株当たり平均12.5本。分枝が太く、着莢・肥大が安定して高い収量性を発揮する。熟期は中早生。花色は赤紫。