成分組成

空豆(そらまめ)の成分組成

炭水化物

雑豆類の炭水化物は、でんぷん、糖、ペクチン、セルロースなどからなっており、種類によって異なりますが、おおむね55〜65%を占めています。そのうちのほとんどはでんぷんで、少ないものでも炭水化物の約60%、多いものでは90%も占めるものがあります。

【ソラマメの糖質と食物繊維(g/100g)】


でんぷん中のアミロース含量は、一般の穀物やイモでんぷんと同様20〜30%のものや、エンドウ、ソラマメ、レンズマメなどのように35〜40%を占めるものもあり、とくにエンドウでは57〜74%と非常に高い値も知られています。

セルロース、ヘミセルロース、ペクチンおよびリグニンなどからなる食物繊維は、その総量でみると低いものでも炭水化物の約16%、高いものでは約44%も占めており、マメ類が食物繊維の供給源になり得ることを示しています。また、糖質では、主にスクロースやスタキオースからなっており、雑豆全成分の4〜8%を占めています。

【ソラマメ粉の糖とでんぷん含量(%)】



たんぱく質

雑豆類のたんぱく質は、豆の細胞形成に関与するほか、あんや甘納豆、煮豆に利用する際、極めて重要な関わりを持っています。すなわち、あんの製造に当たっては豆の細胞組織を破壊することなく、あん粒子を形成させることであり、煮豆や甘納豆においては豆の組織を破壊することなく膨張、軟化させ、糖類などの調味料を効率よく浸透吸着させる役割を果たしています。

雑豆類は、加水、膨張、煮熟の過程で、75〜80℃に達すると、細胞内の熱凝固性たんぱく質が凝固し、細胞内にでんぷん粒子を含有したまま膨張・糊化した状態となります。これが煮豆であり、煮豆をすりつぶして、でんぷん粒を包含した個々の細胞、いわゆる細胞でんぷんとしたものがあん粒子なのです。

雑豆類のたんぱく質は、風乾物中17〜26%を占めており、子葉部たんぱく質はアルブミン、グルテリン、グロブリン、プロテオースなどからなるといわれています。また、ほとんどのマメ類には生豆中に少量の血液凝固性、あるいはトリプシンの消化性を妨げる有毒性たんぱく質の存在することが知られていますが、加熱によってすべて無毒になるので、煮熟したものは問題ありません。

雑豆類の特徴としては、メチオニン、シスチン、トリプトファンが少なく、ロイシン、リジン、アルギニンがやや多く、さらにアスパラギン酸やグルタミン酸の多いことです。必須アミノ酸もメチオニン、トリプトファンがやや少ないほか、ほぼ一様に含まれており、比較的良質と言えます。

【ソラマメのアミノ酸組成(可食部100g当たり)】



脂質

雑豆類の脂質含量は、ヒヨコマメの5%を除いては1〜2%と少なく、そのうち純脂肪は75%内外です。また、インゲンマメ、エンドウ、ソラマメ中にはレシチンが多く、脂質中にインゲンマメでは26%、エンドウには27%、ソラマメでは21%含まれます。加熱処理前後の脂肪酸組成をみても、C18の不飽和脂肪酸であるリノール酸やリノレン酸含量が多く、パルミチン酸やオレイン酸がそれに次いでいます。

【ソラマメの脂質(可食部100g当たり)】



ミネラルとビタミン類

ミネラルではカリウムとリンが多く、カリウムは1,100mg%含まれています。カルシウムは100mg%、マグネシウムは120mg%、鉄は5.7mg%含まれ、通常の穀物よりはやや多いです。

ビタミン類は少なく、A、B1、B2が穀物(玄米、小麦など)よりやや多い程度でD効力やB12、Cは雑豆中にはほとんど含まれていません。