分類と起源

空豆(そらまめ)の植物学的な分類と起源

空豆(そらまめ)はマメ科ソラマメ属の一年生または二年生草本であり、種子の発芽に際して、ダイズのように地表に子葉を出す地上子葉類に対して、子葉を地下に置いてくる地下子葉類に属します。粒大により大粒種 Vicia faba var. faba(broad bean)、中粒種 Vicia faba var. equina (horse bean)、小粒種 Vicia faba var. minuta(pigeon bean)に分類されますが、日本で栽培されているのは大粒種と中粒種です。

そらまめの和名は空豆で、莢が空を向くように育つことから「空豆」と名付けられました。「蚕豆」と書くのは中国での名称をそのまま用いたものです。

さらに、地方により、フユマメ、ユキワリマメ、五月豆(ゴガツマメ)、四月豆(シガツマメ)などとも呼ばれています。これらの名前は、日本の空豆(そらまめ)が秋蒔きで、冬を越し春に開花結実し収穫する冬作型であることを示唆しています。

現在では露地栽培だけではなくハウス栽培などによる栽培方法の改良から、夏に蒔いて冬収穫することができ、年間を通じて栽培が可能になっています。

マメ類はたんぱく質、炭水化物、脂肪を多く含むため、古代より世界各地で栽培されています。空豆(そらまめ)は、ダイズ、ラッカセイ、エンドウ、インゲンマメ、ヒヨコマメと共に世界6大食用豆に数えられ、成熟種子だけではなく完熟に至らない未熟種子(青実)も利用されています。

日本には天平年間(729〜749年)に中国からインド僧により伝えられたと言われており、林羅山の「多識篇」(1630年)に初めて「蚕豆」が登場しています。原産地はカスピ海南部で、栽培の起源は4000年前と言われています。